配属先は、新卒入社時や研修の終了後に決まるもの。これから始まるビジネスキャリアの入り口となるため、不安と共に大きな期待を抱くものでしょう。
しかし、もし希望する配属先に就けなかった場合、仕事へのモチベーションが下がったり、早期離職につながったりする可能性があります。このような状況を近年の若者言葉で「配属ガチャ」と呼ぶことがあります。
本記事では、配属ガチャの問題点や、配属ガチャを回避するための方法について解説します。
配属ガチャとは
配属ガチャとは、新卒で入社する従業員が、配属先を選べない状況をソーシャルゲームのガチャや、カプセルトイ自販機の「ガチャポン」に例えた言葉を指します。
新卒の配属先は、企業の経営戦略や人材計画などの総合的な判断で決定されるため、学生の希望が必ずしも通るわけではありません。そのため、希望する勤務地や職種に配属されないことを「ガチャを引いてみないとわからない」という運任せの要素が強いと表現し、配属ガチャと呼ぶようになりました。
配属ガチャは、新卒の就職活動において大きな不安要素となっています。希望する配属先に配属されなかった場合、仕事に対するモチベーションの低下や、早期離職につながる可能性があるためです。
配属ガチャに外れた失敗ケース
では配属ガチャにおける外れとは具体的にどういった状況でしょうか。新入社員にとって、配属ガチャで外れと言われる失敗ケースは主に以下です。
- 希望の職種に就けない
- 希望の勤務地に配属されない
- 配属先の人間関係や仕事内容が自分に合わない
以前までと比べて、現代の就活生は希望の職種や部門に就きたいという希望を予め強く抱いており、勤務地といったわかりやすいものから、具体的な職務内容まで見据えて就職活動するケースが増えているとされています。
その希望が叶えられないことに対して、希望が外れた=配属ガチャで負けたという比喩表現を用いています。
希望の職種に就けない
希望の職種に就けないことで仕事に対する興味や関心が薄れると、仕事に取り組む意欲が低下していまいます。仕事に対するモチベーションが下がると成果が上がらず、仕事のやりがいも感じられなくなってしまうでしょう。
また、自分の能力が活かせないことで仕事の適性がないと思い込んでストレスを感じるなど、結果的に仕事へのモチベーションが下がる要因はさまざまです。仕事の適性や能力が活かせないと、自分は社会不適合者なのではないかと余計に考えすぎてしまうことも少なくありません。
希望の職種に就けるかどうかは新入社員にとって大きな不安要素となるでしょう。そのため、もし希望の配属先でなかったとして、決まった後は配属先に馴染むために積極的に行動し、仕事へのモチベーションを自ら高めていくことが大切です。
希望の勤務地に配属されない
職種以上に希望が明確になっているのは勤務地でしょう。希望する勤務地に配属されないことで生活環境やプライベートが大きく変わってしまうため、仕事面だけではなく生活すべてを左右しかねません。勤務地の配属ガチャに外れると具体的には以下のような状況になってしまいます。
- 通勤にかかる時間や費用が増える
希望の勤務地から遠く離れた場所に配属されると、通勤にかかる時間や費用が増える可能性があります。通勤にかかる時間が長くなると、仕事とプライベートの両立が難しくなるだけでなく、体力的にも精神的にも負担がかかります。また、通勤にかかる費用が増えると、家計に影響が出る可能性があります。
- 家族や友人と離れ離れになる
希望の勤務地から遠く離れた場所に配属されると、家族や友人と離れ離れになってしまい大きなストレスになります。家族や友人と離れ離れになると、寂しさや孤独感を感じてしまう人も多いでしょう。また、家族や友人と会うために、時間や費用をかける必要があるため、プライベートが不便になる可能性があります。
配属先の人間関係や仕事内容が自分に合わない
上記の2つは、配属される前にある程度の状況を比較的見込みやすいですが、実際に配属されてみないとわからないという意味で配属ガチャ要素がもっとも強いのが、配属先の人間関係や仕事内容です。
面接やインターンシップなど選考の過程で社風や仕事内容を垣間見えるところもありますが、社員となり配属された後にこれまでとは全く違う職場環境を体験することも珍しくはありません。
配属先の人間関係がうまくいかないと仕事に集中できず、なにより激しいストレスを感じます。上司や先輩、同僚との人間関係は仕事内容以上に大切なことも多く、早期離職や転職の主な理由が人間関係であることからも伺えます。
就きたい仕事内容や今後のキャリアを明確にできている就活生よりも、漠然としたまま就活を行い、実際に働き出してから少しずつハッキリしてくる学生の方が多いでしょう。
そのため、人間関係や仕事内容で配属ガチャに外れたと感じた際は、その状況をポジティブに捉え、どうすれば自分にとって上手く利用できるかなどを考えていく必要があります。
配属ガチャの対策方法
配属されてみないと結果はわからないものの、配属ガチャで外れを引く確率を下げる方法はいくつかあります。それが以下の2つです。
- 部署別・職種別に採用を行っている企業を選ぶ
- 大企業ではなく小規模企業を選ぶ
大前提ですが、配属ガチャを意識しすぎないことも大切です。実際には配属はガチャではなく、経営戦略に基づいて会社の合理的判断によって決められるものです。
そのため、どんな配属先であっても順応するための行動や柔軟な思考は大切でしょう。上司や先輩社員に積極的にコミュニケーションを取り、仕事内容や業務の進め方などを学ぶようにするだけでどんな状況もプラスに変えることは可能です。
部署別・職種別に採用を行っている企業を選ぶ
部署別・職種別に採用を行っている企業の場合、当然ですが学生の希望する職種で採用される可能性が高くなります。また、希望だけではなく学生の適性や能力に合った配属先が選定される可能性も高まるため、自分に合った人間関係の部門や業務に就けるケースも増えるでしょう。
大手企業でも、一部の職種は部署別・職種別に採用を行っていますが、外資系企業やベンチャー企業の方がより特定の部門での人材募集を行っている傾向が強いです。大手企業の場合、大量採用してから研修などの過程を経て各部署に振り分けられることが多いです。
企業の採用情報に記載されている採用方法や基準をよく調べることで、部署別・職種別に採用を行っているかどうかを判断することができます。また、OB・OG訪問やインターンシップを経験することで、より具体的な内容を社員に直接聞くことができます。自分に合った企業を選ぶためにも、これらをぜひ検討してみてください。
大企業ではなく中小企業を選ぶ
大企業ではなく中小企業を選ぶメリットをもう少し深堀して説明すると、希望の職種に就きやすい以外に、以下のような配属ガチャ回避の手段があります。
- 裁量権が大きく、自分の力を発揮しやすい
小規模企業の場合、大企業に比べて個人の裁量権が大きく、自分の力を発揮しやすい傾向にあります。そのため、やりがいを感じながら働きたい学生にとっては、大きなメリットとなります。
- スピード感を持って仕事ができる
小規模企業の場合、大企業に比べて意思決定や業務の進め方がスピーディーな傾向にあります。そのため、早く成長したい学生にとっては、大きなメリットとなります。
「配属ガチャに外れた」という状況は、言い換えれば自分の力では打破できないということでもあります。そのため、もし配属時には外れと感じてしまっても、配属された後にキャッチアップできればその問題もクリアできます。その点、中小企業の方が裁量やスピード感をもって仕事しやすい傾向があるため、バイタリティさえあれば配属ガチャのリスクヘッジになるでしょう。
配属ガチャに外れたらどうすればいいのか
では、配属ガチャに外れてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。大きくは「転職するか」「その仕事を続けるか」の2択になりますが、どちらが正解かは人によって異なります。
大切なのは、配属ガチャに外れたら仕事を辞める or 変えるばかりが正解ではないということです。そもそも「ガチャ」は運要素であるため、言い換えれば他責思考とも言えます。問題を自分以外のせいにばかりしても解決せず、それよりもベクトルを自分に向けた方が解決しやすくなります。
仕事内容や勤務地が希望に沿わない場合は転職した方が良い
明確な仕事内容や勤務地の希望があり、それに沿わない場合は早めに転職を考えた方がよいでしょう。仕事だけの人生というわけにはいかず、縁もゆかりもない勤務地では、公私のバランスは非常に取りづらくなります。いつ希望の勤務地に異動できるかもわからない環境にいたずらに長く働いたところで、今後の自分自身のためにもならないからです。
別の会社に転職する際は、同業界かまったく別の業界かをよく検討しましょう。会社を変えてもまたガチャ問題が発生する可能性が高いためです。
同業界の場合は、前職の知見やノウハウがそのまま使いやすいため転職後の職務に大きなギャップはないかもしれません。そのかわり、業界全体に蔓延る慣習や常識も近しいことで、結局また納得のいかない仕事内容になる可能性も十分に考えられます。
また、別の業界に転職する場合は、業界のことや商材知識をゼロからつけていく必要があるため、そこに興味があるかどうかはとても重要になります。ある程度は勉強する意欲を持っていないと、また配属ガチャを理由に辞める口実ができてしまうでしょう。
人間関係が問題なら転職しない選択もあり
配属ガチャに外れた場合でも、仕事内容や人間関係が理由なら転職しない方が自分のためになる可能性もあります。
まず人間関係ですが、基本的には仕事が嫌なら辞めても大丈夫です。嫌なことを無理に続けても、心や身体が先に壊れてしまうからです。しかし、「合わない人がいる」ことを理由にして仕事を辞めるのはおすすめしていません。なぜなら、次の職場にもまた同じような人はいると考えておくべきだからです。
嫌いな上司や先輩は、その職場だけにいるわけではありません。どこにでもいるのです。むしろ、今の職場にだけ嫌いな上司や先輩がいると考える方が不自然であり、もし「転職すれば解決する」と考えてしまっているのであれば、今の環境が嫌すぎて、相対的に外の世界を欲目で見てしまっているだけです。
そのため、人間関係で転職するのではなく知識と経験という耐性を身につけて、誰が相手でも適応できる状態で転職する方がガチャを回避する確実な方法になります。配属先が今いる環境が望んだものと違ったとしても、自分がどこまでできるのかを試した方がいい場合もあります。
配属ガチャは甘えなのか
配属ガチャという考え方、またそれによる転職や退職は自分ではコントロールできない要因もあるため甘えではありません。ただし、それでもできることがある中で、仕事を辞めるための理由としてしまう場合は少し注意が必要になります。
配属ガチャという言葉を、「運が悪かったから仕方ない」という免罪符を得るために使うのは望ましくありません。免罪符に使うとは、「望んだ環境にいられないのは、自分の能力や努力が足りなかったのではなくただ運が悪かっただけ」そう解釈した方が楽だと考えることです。
しかし、運には両面が存在するため、悪い運もあれば良い運もあります。にも関わらず「○○ガチャ」という言葉が使われる、ないしは騒がれるシーンでは、必ずといっていいほど「悪い運」ばかりがフィーチャーされます。
配属ガチャという言葉を使えば「精一杯やらなくていい」ための免罪符を得られるため便利でもあります。頑張らなくても許された気になれる。失敗しても誰かのせいにしやすい。
ですが、それは決して自分自身のためにならない可能性があります。本当に人生を豊かにしたいと望むのなら「配られたカードで勝負するしかない」場面でどう考えるかがものすごく大切です。
配属ガチャに捉われずやりきってみることは大切
「状況は分が悪いけど、とにかく最後までやりきる」と決めて今できることを精一杯していたら、想像してしなかった可能性や奇跡的な体験をすることもあります。
頑張らない方が良さそうな状況にあって、今の環境が思わしくない場合でも「一生懸命にやったけどダメだった」と「挑もうとしなかったからダメだった」とでは質が違います。自分の人生が好転するのも、自分の成長が躍進するのも、ここが分岐点になります。
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