営業はやりたくないけど、文系だから営業しかない・・・。
そんなことを考えながら、仕事に対して鬱蒼としている人にまず伝えたいのは、文系だから営業に就かなければならないというのは勘違いであるということです。
文系出身で営業以外の仕事をしている人は数知れず、色んなキャリアを選ぶことは誰にでも可能です。
ただし、そのためには、営業以外の仕事にはどんなものがあるのかを知っておかねばなりません。
文系は営業しか選択肢がない?
文系出身の人は営業職に就くことが多いかもしれませんが、文系出身だからといって営業しか選択肢がないなんてことはありません。むしろ、マイナビの調査結果では就活生の実に58.7%が「営業はやりたくない」と回答していることからわかるように、営業をやりたいと考えている人は少数派なのです。
それなのに、なぜ多くの文系出身者が営業職に就くのか?それは職種について良く知らないまま、採用人数の多い枠にエントリーしてしまった結果でしょう。つまり、予め世の中にどんな仕事があるのかを知っていれば、何も望まないまま営業職に就く必要はないのです。
営業をやりたくない文系におすすめの仕事
文系におすすめの営業以外の仕事には、以下のようなものがあります。もちろんこれがすべてではなく、沢山ある中から著者がおすすめする一部の仕事になります。
- マーケティング関連
- カスタマーサクセス
- バックオフィス
- Webライター・デザイナー・エンジニア
- 製造業の生産・販売管理
企業によって配属など方針は異なるため、いずれも、新卒で就ける・目指せる場合とそうでない場合があることは理解しておきましょう。
ただ一概には言えるのは、上記のような職種があること、そこに就ける可能性があることを知っておくか否かは今後に大きく影響します。それまでのキャリア形成として営業を選ぶことと、何となく営業しかないと思い込んでいるのでは働き方が天と地ほど異なるからです。
紹介する仕事に共通するのは、はじめからこれらの職種に就ける場合と、一度営業などでキャリアを積んでから配置換えや転職で就ける場合に分かれるが、採用枠や条件などの兼ね合いから後者のケースが多いということです。
マーケティング関連
マーケティングとは、企業の売上や利益を上げるために、市場調査や分析、商品やサービスの企画・開発、広告やPRなどを行うことです。ほとんどの企業にはマーケティングの部門があり、明確な担当者がいなかったとしても機能としては誰かが絶対に担っています。
広義では営業もマーケティング活動の一部といえますが、実際の現場ではマーケティング担当者が営業をすることはなく、販促のための戦略立案や分析・実行からの仮説検証など上流工程を支えます。
消費者の価値観の多様化が進む現在では、従来のような広告主体のマーケティング手法は年々効果が薄まっているため、時代のトレンドに即したマーケティングを手掛けられるなど、次世代のマーケッターは益々需要が高まるでしょう。
ただし、いきなり未経験からマーケティング職に就けるケースは稀のため、まず営業でキャリアを積んでから移行することが前提になります。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを最大限に活用して成功体験を実現できるように支援する活動や戦略のことです。それ自体が職種を示す場合が多く、従来のカスタマーサポートとは異なり、顧客からの問い合わせや要望に対応するだけでなく、顧客の成功を実現するために能動的に働きかけます。
顧客の成功体験を実現することで売上拡大にもつながるため、顧客との信頼関係を構築し、長期的な関係を築きたいと考える企業は年々増えています。
カスタマーサクセス自体はまだまだ多くの企業には浸透していないため、採用の枠が広くないことから、研修制度などが整っている企業でないと就くことは難しいです。従来のカスタマーサポートのように、顧客やサービスを理解している営業からの役割変更で就くケースが多い印象があります。
バックオフィス
バックオフィスとは、企業の利益に直接関わる営業やマーケティングなどのフロントオフィス業務を後方からサポートする部署および業務です。具体的には、総務・経理・財務・人事・労務・法務・その他一般事務などが当てはまります。
バックオフィスの業務は、企業の規模や業種によって異なります。しかし、いずれの企業においても、バックオフィスは成長を支える重要な役割を担っているため、必ずそれぞれの役割に担当者がついています。
営業をやりたくない人のほとんどは、ノルマが嫌だったり、数字的な目標を追わされることが嫌だと感じているかと思います。そんな人たちがイメージする、理想的な“営業以外の仕事”がこれらバックオフィスの仕事ではないでしょうか。
人事異動で、営業からいずれかのバックオフィスに配置換えとなることで就ける場合が多いです。ただし、経理や財務・労務・総務などは専門知識や資格が必要になるため簡単には就けません。
Web関連の専門職
Web関連の専門職とは、ざっくりとインターネットに関わる仕事のことです。WebサイトやWebアプリケーションの開発・運用、Webマーケティング、Webライティングやデザインなど、さまざまな職種があります。
専門職ではあるものの資格は不要で、ほとんどがスキルさえあれば誰でも目指せる職種です。言い換えれば実力主義にもなるわけですが、その分、早い人ならその月から始めたり、自ら学びに行く姿勢と行動力があれば誰にでも活躍のチャンスがある世界です。
例えば元営業で、現在はWebライターをやっていますという人も少なくないですし、とりあえずアクションすれば仕事にできることからフリーランスを目指す人にとって人気の仕事でもあります。
営業という仕事の括りだけではなく、働き方そのものに疑問を感じている人は、会社員以外の選択肢も視野に入れておくとよいでしょう。そのための候補として、Web関連の専門職があることを知っておいてください。
製造業の生産・販売管理
製造業の生産・販売管理とは、製造業における生産と販売の業務を効率的に行うための管理活動です。生産管理では、製品の製造計画の立案・実行、在庫管理、品質管理などを行い、販売管理では、顧客のニーズを把握し、適切なタイミングで製品を販売するための計画・実行、受注管理、請求管理などを行い、両者が連携して、製造から販売までの一連の流れを最適化します。
製造業には製造業なりの大変さがあります。変化する顧客ニーズをとらえるためにデータを分析したり、設備トラブルや自然災害など、予期せぬ事態が発生した際には対応に追われることになります。
反面、効率的な生産・販売管理を行うことで、生産コストの削減や顧客満足度の向上、企業の競争力強化につながります。その分企業の利益に貢献できることは大きなやりがいとなります。
はじめは営業をやった方がいい?
「はじめは営業をやった方がいいのでは?」と疑問に思う人も多いでしょう。答えは「人による」となってしまいますが、営業を経験する意味がある人とそうでない人では、以下の条件で切り分けて考えるとよいです。
将来就きたい仕事がある程度決まっている場合は、必ずしも営業経験は必要ありません。目指す方向が決まっているのであれば、はじめからその道を歩む方が最短距離であることは間違いないからです。
将来就きたい仕事は決まっておらず、キャリアについても漠然としている場合は、とりあえず営業を経験することが結果的に将来のためになる可能性が高いです。
将来就きたい仕事がある程度決まっている人
将来就きたい仕事がある程度決まっている人は、最短距離でそこを目指すべきです。そのために営業という経験が必要なのであれば経験すべきですし、直接関わらないのであればわざわざ営業をやる意味はありません。
ただし、就きたい仕事が上記で紹介したマーケティング職であった場合、即戦力となる学生時代の実績や経験を持っていなければいきなりその枠で採用されることは難しいでしょう。
そのため、将来就きたい仕事がある程度決まっている人でも、今の手札や状況から目指すとなると、まずは営業で実績や経験を積み、社会やビジネスのいろはを身に着けなければいけないこともあります。
まとめると、必要だと判断すれば営業を経験してもいいですし、不要だと思えば経験をしないという選択肢も大いにアリということです。
今後のキャリアが漠然としている人
今後のキャリアが漠然としている人は、社会やビジネスを知るためにもとりあえず営業を経験してみたらいかがでしょうか。
営業という仕事は、サービスを売り込むことが仕事ではなく、顧客の未来を創造することが仕事であり本質です。そのためには、マーケティング力も求められますし、市況を分析したりさまざまな業界に精通しなくてはいけません。
つまり営業を経験するということは、ビジネスの中心で生きるということでもあるため、以降でお伝えする内容も含めて今後のキャリアアップにつながるメリットがいくつもあるのです。
営業を経験するメリット
営業をやりたくない人でも、今後目指したいキャリアや働き方によっては営業を経験するメリットもあります。前述したような、営業をはじめとした他の職種からキャリアを積まなければならないケースを含めて、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 基本的なビジネススキルが身に着く
- キャッシュフローなどビジネスの流れを知れる
- 営業以外のキャリアを目指す足掛かりになる
これらのメリットを享受するために営業を経験するのか、就いてから考えるのかでは得られるものがまったく異なります。「何となく営業しかないから」で営業職に就くのは、後で後悔してしまう可能性が高いでしょう。そうならないためにも、営業を経験するメリットは知っておくべきです。
基本的なビジネススキルが身に着く
営業は、顧客への提案から契約の取りまとめまで一連の業務をこなさなければなりません。アポイントをとるためには顧客の情報をリサーチする必要があり、サービスを提案する際には顧客にとってのベネフィットをわかりやすく提示します。そのための資料を作りこんだり、顧客の社内事情も鑑みる場面もあるでしょう。・
さらに、コンセンサスをとるのは顧客だけではありません。提案や受注までの営業活動では上司や先輩、契約や法務関係の確認は総務や法務などのバックオフィスなど、社内のあらゆる部署とも関係します。そのため、社外・社内の両方における調整能力が養われ、身に着いたディレクション能力はどんな仕事においても重宝されます。
営業を経験することで、結果的にあのときの業務経験がビジネスの基礎を作ったと感じる人も多いでしょう。そのくらい、営業という仕事はビジネスの基礎を現場で学べるものでもあるのです。
ビジネスの仕組みを知れる
当然ですが、世の中にはさまざまビジネスの形があり商流があります。そして、そこにはお金の流れも存在します。どんな仕事をしていても、社会という仕組みの中で我々は生活しているのです。
営業はビジネスの基本でもあり、そこに従事することで、あらゆるビジネスの仕組みを知るきっかけにもなります。自社の仕組みはもちろん、関わる顧客やその業界の仕組みなど、幅広く関われることが営業の大きなメリットです。
社外のコミュニケーションが多いことでストレスを感じる人もいますが、その分だけ知見が広がり、内勤業務では難しいような営業だからこそ関われる業界も沢山あるでしょう。
営業以外のキャリアを目指す足掛かりになる
基本的なビジネススキルが身に着き、ビジネスの仕組みを知ることで、結果的には営業以外のキャリアを目指す足掛かりになります。何もスキルや実績を持たない状態で、資格不要とは言えいきなり何かしらの専門職に就くことは現実的ではありません。
もし「今からでは十分な期間がない」と焦っている文系の人は、目的意識を以ってまず営業を頑張ってみるのも手です。そこでがむしゃらに努力した経験値は確実に自分をレベルアップさせ、当初は想像もしなかった可能性が気が付いた時には沢山生まれていた、という未来にもつながるでしょう。
文系が選べる会社員以外の選択肢
ここまでは主に会社員としての選択肢をお伝えしてきましたが、必ずしも民間企業の会社員でなくてもよいのです。ただし、今からそのための勉強や準備をするのは、かなり大変な道になるかもしれません。
しかし、どうしても目指したいという思いがあれば、思い立った時がタイミングです。ある程度の苦労は覚悟して公務員や士業を目指すのも選択肢のひとつです。
公務員
公務員とは、国や地方公共団体に勤務し、社会の土台作りを仕事とする人です。公務員の仕事は、大きく「国家公務員」と「地方公務員」に分けられます。
- 国家公務員
国の行政機関や司法機関、立法機関で働く公務員の総称です。財務省や厚生労働省などの省庁の職員、裁判所や検察庁の職員、自衛官、教員、消防士、警察官など、さまざまな職種があります。
- 地方公務員
都道府県や市町村などの地方公共団体で働く公務員の総称です。都道府県庁や市役所の職員、消防士や警察官、教育委員会の職員、福祉事務所の職員、道路や水道などのインフラを管理する職員など、さまざまな職種があります。
公務員の給与や福利厚生は、民間企業と比べて安定しており、比較的高い水準にあるのが特徴です。また、公務員は、一定の条件を満たせば、定年まで安定した雇用が保証されているのもメリットでしょう。
士業
士業とは、日本における名称末尾に「士」の字を用いる職業の俗称です。医師、薬剤師など「師」の字を持つ職業を含め、士師業とも呼ばれます。高度な専門知識と技能を有し、社会に貢献する職業です。法律、会計、税務、不動産、建築、医療、福祉など、さまざまな分野に士業が存在します。
士業の具体的な種類としては、以下のようなものがあります。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 税理士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
なお、士業の中でも、弁護士、司法書士、弁理士、税理士、社会保険労務士、行政書士の6つの職業は、住民基本台帳法に基づいて、戸籍や住民票の請求権が認められており、公益性の高い専門的な業務を担っています。
また、公認会計士と不動産鑑定士は、10士業とも呼ばれます。
営業か営業以外の仕事で迷ったときは
もっとも大事なのは将来どうなりたいかの目的意識であり、そのための考え方と準備次第で選ぶべき仕事は変わります。
いってしまえば、漠然と何かを選んでもん漠然とした結果しか得られないですし、良いイメージのない営業にあっても、それを経験する意味を落とし込めていれば最良の選択になります。
著者である和田自身も、かつて外資系企業で世界2位の営業成績を収め、現在では営業に関する書籍を多数発表していますが、営業をはじめた当初はがむしゃらに目の前の顧客にとにかく向き合っていました。それを続けたからこそ、経験の中で少しずつ実績やスキルを積み重ねて今があります。
どんなつらい出来事の中にも「よかった」があり、それを見つけることで前向きに行動し続けることができます。そんな『陽転思考』を学ぶことで、どんな仕事にも必要な強いメンタルを身に着けるきっかけになるでしょう。まずはそちらから学んでみてはいかがでしょうか? メルマガの購読は無料で可能です。
著者である和田自身も、かつて外資系企業で世界2位の営業成績を収め、現在では営業に関する書籍を多数発表していますが、営業をはじめた長所は決してメンタルが強いなんて言えませんでした。それを自覚したからこそ、経験の中で少しずつ強くして言って今があります。どんなつらい出来事の中にも「よかった」があり、それを見つけることで前向きに行動し続けることができます。そんな『陽転思考』を学ぶことでも、営業マンに必要な強いメンタルを身に着けるきっかけになるでしょう。まずはそちらから学んでみてはいかがでしょうか? メルマガの購読は無料で可能です。
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