「営業のノルマがきつい」と感じたときに考えてほしいこと|達成できるマインドセットの身に着け方

営業と聞いて真っ先に「ノルマ」を思い浮かべる人は多いでしょう。

営業は数字を追いかけ続ける仕事であり、ノルマは課せられた数字目標。営業職に就く人の多くは、そんな風に営業という仕事を見ていることかと思います。

事実、営業はノルマがきつい仕事。「ノルマなんて楽」と感じる人の方が圧倒的に少ないです。それほど、ノルマは常に営業マンにのしかかる存在です。

ですが、そんな営業マンを苦しめる「ノルマ」とは一体何なのでしょうか?

「ノルマが何のためにあるのか」を改めて考えることで、今はつらいだけの営業活動が、今後は少し楽になるかもしれません。

営業のノルマはなんのためにあるのか?

ノルマが設定されるのは、会社と従業員それぞれに対して理由があります。まず会社の業績目標を達成するために必要であることは、誰でも思い浮かぶことかと思います。当然ですが、会社は業績を上げなければ存続できないため、すべての従業員がそのために業務を遂行します。

営業マンであれば、売上を作るための顧客を創造することが職務であるため、売上構築の入口、つまり「お客様がいなければ始まらない」ため非常に大切な役割を担っていると言えます。

ノルマを味方につけるためには、会社と営業マン自身、双方における“必要な理由”を理解する必要があります。

会社にとってノルマが必要な理由

会社は組織であるため、会社全体の目標、各部署における目標、個人の目標といったように、それぞれの単位で進捗を確認しなければ管理できません。

会社は業績という目標に向かって、それを達成するために各部署や従業員に相応しい目標を落とし込みます。そうしないと、何に対してどのくらい進捗したのかが不透明になり、改善すべき業務や、推進すべき事業を適切に判断できなくなってしまいます。

そして、自身のノルマにだけ目が行きがちな営業マンが意外と気づかないこと、それは会社全体にかかる原価を踏まえて利益を出さなければいけないことです。

例えば「月給30万の自分が、なぜ毎月500万円も売り上げないといけないのか?」と疑問に思ったとしましょう。確かに、営業マン自身にかかる諸経費・販管費だけで考えればそこまでの売上は必要ないかもしれません。

しかし、実際には開発や人事・総務、制作の部門など、会社全体で見たときにかかる原価は想像よりも遥かに大きいため、個人の尺度で推し量っていたらギャップを感じて当然です。

営業マンにとってノルマが必要な理由

会社にとって、ノルマがないと経営が回らないことは理解しやすいですが、実は営業マンにとってもノルマはあってしかるべきものです。

ノルマの達成は、会社の成長であると同時に営業マンにとっての成長でもあります。目標を達成するマインドセットは、営業をはじめとした仕事だけに関わらず、人生におけるあらゆる成長に不可欠だからです。

仮に「できる」「できない」と自分の尺度で目標を決めてしまうと、多くの場合、ドンドンと目標は下方修正されていきます。少し無理をしないと達成できない目標を、自分自身で設定できるほど人間は自分を律することができないためです。

「目標を好きに決めていいよ」と言われて、切迫するほどの目標を自身に課せる人は多くないでしょう。さらに、それが毎月続くとなると尚更です。

一度、目標を達成できれば「達成できるマインドセット」が身に付きます。そうして徐々にスキルや経験値が向上していく。「ノルマは成長を促す存在」という考え方が重要です。

営業のノルマをきついと感じる理由

会社にとっても営業マンにとっても、ノルマは必要な存在であると頭では理解しても、やはり「きつい」ものであることに変わりはないでしょう。

達成できなければ叱責されたり、給料が減ったり、しんどい思いをするのもノルマが理由です。

しかし、逆に考えれば、ノルマを達成できれば営業マンにとってはメリットが多い。つまり、ノルマは達成できないからきついのであって、達成して当たり前の習慣が作れればきついと感じづらくなります。

そして、「ノルマの未達成=きつい」が根付いている営業マンにおける、根本的な原因は主に以下の4つです。

  • ノルマを達成する意味が落とし込めていない
  • 達成できないことが常習化している
  • 行動目標にこだわれていない
  • そもそも達成できないハードルを敷かれている

ノルマをきついと感じたとき、ノルマが下がる(コントロールできない)ことを期待するよりも、営業マン自身が変えられる(コントロールできる)ことに注力した方が問題を解決しやすいです。

ノルマを達成する意味が落とし込めていない

ノルマは会社にとってだけではなく、営業マンにとっても必要な存在であるとお伝えしました。成長のためにやるべきことが明確にわからないため、多くの営業マンが成果に向かえるようにノルマは設定されています。

当記事をご覧になる前の、ノルマを達成する意味が落とし込めていない状態では「なんでノルマなんかあるんだ!」と不満しか感じられなかったでしょう。

しかし、ノルマは決して会社都合ではないということがわかれば気の持ちようも変わると思います。もちろん、すべての会社が健全ではないかもしれませんし、中には無茶なノルマを押し付けて人を使い倒そうとするブラック企業もあるでしょう。

もしそうであったとしても、自分にとってのメリットを真っ先に考え、自己成長や収入を上げるための手段として利用できれば決して悪いことばかりではありません。ものは考えようということです。

達成できないことが常習化している

「こんなノルマは達成できない」と思えばそれまでです。目標の高さは自分でコントロールできないため、「どうやったら達成できるか?」をひたすら考えて行動しなければ何も生まれません。

達成できないことが常習化すると、できる仕事がなし崩し的に減っていき、いずれは何もできない人間になってしまいます。このような負け癖がついてしまうと、勝つための方法を考えなくなってしまう恐れがあるので注意。

成功体験を積み重ねれば、あの時はできないと思っていたことが、少ない負荷でできるようになるのも人間の性質です。たった一つの成功体験で飛躍的に成長する人は珍しくありません。負け癖がつく前に、ノルマを達成する方法を考えられる営業マンになると気持ちも前向きになります。

行動目標にこだわれていない

目標には「達成目標」と「行動目標」の2つがあります。マーケティング用語では「達成目標」がKGI、「行動目標」がKPIと呼ばれます。

KGIは、わかりやすくいえばノルマです。月や年で達成しなければならない数字ですね。営業がきつい仕事とイメージされやすいのは、このノルマに追われ続けるからでしょう。

対してKPIは、KGIを達成するために必要と考えられる数値目標です。例えば、「1件の契約を取るためには、アポイントが10件が必要」のアポイント数がKPIです。KPIを達成した結果、KGIを達成できる。つまり「これを積み上げていけば到達できるはず」という達成への階段を組み上げるためのものです。

営業の行動管理で大切なのが、このKPI(行動目標)です。行動目標を立て、それを達成し続ける営業マンは安定的に売上を作ることができます。

また、行動目標は週次でたてるべきです。例えば、「今週1週間で○○件のお客様と会う」や「1日1商談し、1週間で計5件商談する」など。ポイントは、達成できるかどうか怪しい目標ではなく、きちんと行動していれば達成できる目標であることです。

大きな目標を前にして「こんなの達成できない」と諦めるのではなく、小さくてもいいから「できた!」を少しずつ積み上げていけばいいのです。

そもそも達成できないノルマを課せられている

不健全な会社の場合、そもそも達成できないノルマを課せられているケースもあります。とにかく自社の利益のために受注をするように指示され、お客様にメリットがなくても押し売りするような会社の営業マンは、かなりハードなノルマを設定されているでしょう。

「できることはやった上で」になりますが、そのような場合は無理せず辞めるのもアリです。間違った指針にしたがって営業を続けることで、間違った営業に対する認識が根付いてしまうことが最も恐ろしいことです。

ノルマが未達だと金銭的なペナルティが発生するのは労働基準法違法です。例えば、ノルマを達成するために自爆営業(営業マン自らが買い取る行為)や給料から天引きされるといったケースです。

ノルマを達成し続けるための営業方法

ノルマを達成し続けるための営業マンは、「売り込まなくても売れる仕組み」を作っています。具体的には、既存顧客からの紹介でさらにお客様を増やしていくことをメインとする戦略です。

毎月ノルマがしんどいと感じる営業マンは、必死の思いでノルマを達成しても、月が空ければまたノルマが課されることで日に日に疲弊していきます。

その原因は、刈り取り型の間違った営業をしているためであり、売らなくても売れる営業マンは「ファンづくり」のために営業活動をおこなっています。

そして、ファンづくりのために必要な基本となる考え方は以下の4つです。

  • アフターフォローの時間を増やす
  • 「売ったら終わり」ではなく「売ってからが始まり」
  • 自己の利益ではなくお客様の利益を追求
  • 今よりももっと先の利益を追いかける

アフターフォローの時間を増やす

営業のゴールは、契約することではありません。ここを間違えてしまうと、自分で自分を苦しめることになります。「売ったら終わり」の先には、お客さんとの継続的な関係(未来)が見込めないためです。

毎月、新規のお客さんを獲得し続けるのは簡単でありません。アポイントをとることに、全体の80%の時間を割いている営業マンも少なくありません。

ですが、もし仮にアポイント獲得に割く時間が全体の20%で済んだらどうでしょう?削減できた時間は、お客さんとの商談やコミュニケーションにあてることができます。その結果、関係性が深まることで信頼を勝ち取りやすくなり、お客さんが次のお客さんを紹介してくれる好循環に入りやすくなります。

ノルマを達成できない焦りをいきなりゼロにすることはできません。それでも、焦る気持ちを少しだけおさえて、目先の利益ではなく『未来の利益』に目を向けることが大切です。それが、負のスパイラルから脱却する大きな一歩になります。

「売ったら終わり」ではなく「売ってからが始まり」

契約してくれたお客さんを誠心誠意フォローアップし、叶えたい未来に伴走することで信頼を得る。そして満足度の高いお客さんが、別のお客さんを紹介してくれる。

この好循環を生むために、営業は「買ってもらってからが始まり」であると心に刻んでおきましょう。お客さんは、買ってからがスタートです。であれば、営業も同じく売ってからがスタートです。

「売るのがゴール」の営業とは、まるで正反対の考え方です。だからこそ、商談やアフターフォローに80%の時間を避けるという“正反対”の営業活動ができるわけです。

「課題を解決してくれてありがとう」はあっても、「売ってくれてありがとう」というお客さんはあまりいません。売っただけでは感謝されません。

提案からアフターフォローまで、一貫して顧客ファーストであり続けることが「ありがとう」と言ってもらうための基本姿勢です。

お客さんからの“信頼残高”という、目には見えない積み上げを一心にできる営業マンが労せずしてノルマを達成できるようになります。

自己の利益ではなくお客様の利益を追求

お客さんを紹介してもらうためであったり、別商品のアップセルを目論んだアフターフォローはNGです。その行動が自分本位であるかどうかは、お客さんにもその真意が透けて見えるものです。

わかりやすくイメージするなら、自分が営業を受ける立場になったときを想像してみてください。どれだけ熱心に説明してくれても、自分本位が気持ちを抱えている営業マンからは「あ、この人は売りたいだけなんだな」と心のどこかで感じられてしまいます。

自分がされて嫌なことはしない。代わりに、自分がされたら嬉しい対応を相手にもする。売れる営業になるために必要なのは、このようなシンプルな動機で十分です。

顧客への手厚いアフターフォローは、今ではなく将来の自分に還元されます。営業マンは、目先の利益を追うのではなく、未来の利益を増やすための『ファンづくり』に力を入れてみてください。

今よりももっと先の利益を追いかける

売り込まない=売上を追わないということではありません。売り込みをやめて、ファンを作るスタイルにシフトするのは、あくまでも長期的に見たときの売上を増加させるです。結果的に、自分の営業成績を伸ばすためでもあります。

短期的で自分本位な思考から、中長期的で利他的な思考に切り替えた方が、毎月ノルマに頭を悩ませるむこう10年間をもっと楽にするというメリットがあります。

営業という職種にアレルギーがある人はまだまだ多いですが、本来の営業は「お客様から相談をもらい、問題を解決してあげる」ために存在しています。

「営業=ファンづくりの仕事」と思えるように、営業に対する考え方や行動を変えていくことで、「ノルマがきつい」という悩みから開放されるでしょう。

ノルマがきつかったら営業を辞めてもいい

営業に限らず、仕事を辞めたいと思ってしまうのは、その仕事に適正がなかったからです。決して弱い人間だからとか、甘えではありません。つらかったら辞めてもいいんです。

営業はとくに、社会的に間違った認識がはびこりやすく、その価値観を押し付けられてしまうケースが珍しくありません。そして、そのとおりにできない自分を責めたり、「辞めたいのは甘えているからだ」と自責の念にかられてしまいます。

ですが、営業を辞めたいと思うのは甘えではなく、むしろ営業という仕事を再定義する絶好の機会だったりします。

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