「静かな退職」とは、会社に従事しながら最低限の仕事だけをこなす考え方です。出世や昇給など多くを望まず、与えられた仕事だけを淡々とこなすことで、肉体的・心理的なストレスが極力少なくなるように「仕事を頑張らない」のが特徴。
日本でもZ世代を中心に広がりを見せる概念ですが、静かな退職は若者だけではなく30代以降のミドル層にも影響しつつあります。
なぜ、社会人経験も豊富な30代以降でも「仕事を頑張らない」人が増えているのか、その理由を紐解いていきます。
30代が「静かな退職」を選ぶ理由
30代が「静かな退職」を選ぶ理由は主に以下の4つです。
- 頑張っても昇進・昇給が見込めない
- 社内に理想のロールモデルがいない
- メンタルが疲弊してしまった
- 勉強したくない
社会人経験を積み重ねてきたからこそ、努力した先の未来を想像できてしまう人もいます。とくに、同じ会社で10年近く働いてきた人にとっては、次の10年が明るいとは想像しがたいでしょう。そうなると、成長するための勉強はさらにストレスであり、できる限りひっそりとしていたいと願うのかもしれません。
頑張っても昇進・昇給が見込めない
これまでの経験から類推して、このまま頑張っても昇進や昇給が見込めないと考えているミドル層は多いでしょう。静かな退職を選ぶような人は、とくに「今まで報われた経験がない」のだと思います。
そういったキャリアの諦めを受けいられてしまうのは、年齢や経験の弊害でしょう。これが20代前半であれば、わからないことだらけでガムシャラに頑張れたことも、悟ったような気持ちになって行動できなくなってしまうのです。
社内に理想のロールモデルがいない
20代だろうと30代だろうと、近くに憧れの存在がいればそれに近づこうと仕事を頑張れるものです。しかし、もっとも身近な社内に理想のロールモデルがいない場合は、なにを目指して仕事を頑張ればいいのだろうと停滞しがちです。
管理職など役職者は、給料に見合っているとは言えない仕事量と責任が載せられ、「昇進すると自分もああなるのか」と決してポジティブには見られないでしょう。たとえ忙しくても、仕事に価値を見出している上司や先輩がいれば目標ができます。
その人たちのように仕事を頑張る動機もできますが、いない30代にとっては「できるだけ楽にいきたい」と思ってしまうものです。
メンタルが疲弊してしまった
10年近い社会人生活のなかで、メンタルが疲弊してしまい、以降はなるべく楽に生きたいと願って静かな退職を望む30代もいます。20代では無理して頑張った時期もあったでしょう。しかし、それが今に結び付いていないと振り返ることで「頑張るのは20代まで」と楽をするための線引きをしてしまいます。
また、30代になるとプロパーではなくても周囲よりも年上なことで心理的な余裕が生まれやすいです。すると、「頑張るのは若い世代でいいでしょ」と仕事に胡坐をかいてしまう人も出てきます。
また、期待されたり重要な仕事を任されるのはやる気がある人だけだから、やる気がない振りをしておけば逃げやすいとも考えがちです。そうやって、なるべくメンタルが傷つかないように仕事していきたいと望んでいるのです。
勉強したくない
人間は加齢とともに新しいことをインプットしづらくなっていきます。これまでの経験や知識が邪魔をして、自分に都合が悪い可能性がある新たな知識や常識を受け入れなくなっていくのです。これは成長マインドが低いミドル層だけではなく、年齢と共に無意識に誰にでも起き得ることです。
時代の変化は激しく、多くの業界が「同じままではいけない」と従業員にも変化を求めますが、もともと上昇志向が弱い人が30代になると余計に勉強が嫌になります。思ってもできない、そんな理想と現実のギャップに悩みやすくなるでしょう。
「静かな退職」を選んだ30代の末路
静かな退職は自分を正当化する理由でしかなく、メリットはおろかデメリットしかありません。そんな静かな退職を選んだ30代に待ち受けるのは、次のような末路です。
- 貧困に悩む生活
- 閉鎖的な人生
- 孤独な人生
定年退職した人や特別な事情を抱える人を除けば、これ以上は頑張らなくていい年齢なんてものは存在しません。にもかかわらず、今後のキャリアを多く左右する30代を怠惰に過ごすのは未来の自分を不幸にするだけです。
貧困に悩む生活
物価の上昇、税負担の増加など、自分の収入は変わらなくても実質的な収入は減っていくことが予想されます。かつて「2000万円」と言われた必要な老後資金も、今では3000万円はいるだろうと言われています。
それらの外的な環境の変化を考慮せずに、現状維持が今後も本当に現状維持になると安易に考えていると、いずれ貧困に悩む生活が訪れるでしょう。独身であっても十分な生活ができず、家族がいる場合はなおさら看過できない事態になる恐れもあります。
閉鎖的な人生
人生を大半の時間を過ごす「仕事」を頑張らないということは、それだけ人生の可能性を狭めるということです。仕事で関わるのは社内・社外を含めて多岐にわたります。知らず知らずのうちに、仕事を通じて色んな人とのコミュニケーションが生まれているにも関わらず、仕事を限定していくことは閉鎖的な人生を招くことにつながります。
閉鎖的なコミュニケーションを望む人もいるかもしれませんが、実際にそうなったときに「充実とはかけ離れたものだった」と後悔するでしょう。当然ですが、未来のことは後になってみなければわかりません。だからこそ、それを見据えた準備が必要になるのです。
孤独な人生
これらの結果、最終的に訪れるのは孤独な人生です。家族がいないという意味でもそうですし、いたとしても心理的に距離が生まれている心の孤独もあります。仕事もプライベートも関係する人は減り、気付けば一人という恐ろしい未来が待っています。
生まれたときからそうであるように、人間は決して一人では生きていけません。40代以降になって年を重ねてもそれは変わらないのです。なのに、あるときから仕事を生活から切り離して遠ざけるようとすることで、本来相乗させるべきプライベートと仕事の両方に悪い影響を及ぼしてしまいます。
「静かな退職」を望まない30代になるために
「静かな退職」を望まない30代になるために、「人生は死ぬまで勉強なんだ」と自分に言い聞かせることです。これら決して体育会系の理念などではなく、いずれ「自分以外の何かのため」という生きがいを見出すための真理です。
人間は一人では生きていけないとお伝えしましたが、同時に、「自分も誰かのために生きられている」と実感できることが人生を充実させます。必ずしもプライベートでなくてもよく、仕事で関わる些細なコミュニケーションでも感じられればそれが成長なのです。
一方で、過去の失敗や辛い経験から心を閉ざしてしまい、なるべく失敗やストレスのない人生を望んで静かな退職を受けている人もいるでしょう。しかし、30代だろうが40代だろうが人間は何歳になっても失敗を繰り返して学ぶ生き物です。「先輩だから」「年上だから」といって、失敗したら恥ずかしいと感じる必要などありません。
どんなことにも『よかった』は存在する
何かに失敗してメンタルが落ち込んだ時は、自分の将来について深く考える機会です。言い換えれば、「このタイミングで悩んでよかった」と自分を褒めてもよいということです。
仕事に限らず、どんな悪い出来事にも『よかった』は存在します。大切なのはそれに気付けるかどうかです。仕事に行きたくないと悩んだことで、逆に『よかったこと』は何でしょうか。
- もっと成長しなきゃとモチベーションが高まった
- 乗り越えたことで耐性ができた
- 糧としたことで前よりも精神的に強くなった
- 仕事への価値観や人生について考えることができた
考え方次第で色んな『よかったこと』が出てきます。どんなことにも相反する事実があることを忘れないでください。もし『よかったこと』に気付けそうになければ、気付けるようになるための考え方を醸成してきましょう。もし自分一人では考え方を醸成できない人は『陽転思考』を学んでみてください。
陽転思考とは、ネガティブな事実からも「よかった」を探す思考法です。ネガティブな感情を許可し、それらを受け入れてから切り替えるという方法であり、マイナスのことを否定しません。良いとか悪いという二元論ではなく、「すべての事実はひとつですよ。見方を変えて見ましょう」という考え方であり、ビジネスにおいても重要な考え方になります。『日刊ワダビジョン』は、陽転思考に繋がる仕事やコミュニケーションにおける本質を知れるメルマガになっていますので、この小さな一歩から皆さんの人生が前向きになることを願っています。
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